今年最後のお料理教室に、生徒さんが自宅でできた柚子のお菓子を作ってきてくれました。
「今年の柚子はかたくて・・・亡くなった母が柚子の中をくり抜き、蒸し饅頭を詰めて蒸したものを、地元の集会に持参していたのを思い出して作ってみました。蒸すことで柚子がやわらかくなりました」と・・・
自給自足の生活をされているその方は、無農薬栽培のお野菜や果物、それに自宅の庭に咲いている様々なお花をお洒落にアレンジして教室の度に持参してくださいます。
彼女のお蔭で、ぶどうも無農薬でできる事、ジャガイモも無理して決められた期限までに掘る必要がない事、草の中で野菜が十分できる事などなど、農薬や化学肥料に頼らなくても自然の持つ力で野菜や果物ができることを学んでいます。
今回の柚子のお菓子には、彼女のお母様のような蒸し饅頭ではなく、蒸したさつま芋やかぼちゃ、干し柿、ブルーベリージャムなどなどが詰められていました。
どれも、自然の甘さを大切にされていました。もちろん、お砂糖はマクロビオティックでおすすめの甜菜糖を使って・・・
マクロビオティックでお料理を学ぶ目的は、「直感、感性、洞察力」を身につける事です。多くのレシピを学ぶことではありません。
その日の季節、天候、時間、温度、湿度、仕事の状況(力仕事をするのか、ディスクワークなのか、気のゆるい仕事なのか、集中した仕事なのかなど)などなど、人それぞれの食べる今の状況を把握して、それに無意識に対応してお料理ができるようになること・・・です。
集中した仕事をして帰宅したご主人が、奥様から玄米ご飯を強要されたら気の毒です。お酒を飲んで心も身体もゆるめたくなるのが当たり前。ご飯も白いのが欲しくなるでしょう。うどんが欲しくなったりします。
どんな時でも、玄米ご飯がベストという訳ではありません。体調が陽性に偏り過ぎた時には、陰性のものでバランスをとろうとするのが自然です。その自然の状況をちゃんと把握する必要があります。
「直感、感性、洞察力」が身につくと、それをちゃんと受け止める事ができて対応が容易になります。
私の生徒さんは、ちゃんとそれを身につけてくれ、私を乗り越えてくれました。「直感、感性、洞察力」が身につく時間は、人それぞれです。教室に参加してくださった時点で、既に身につけている人もいます。十年以上やっても身につかない人もいます。
その違いは、身体が中庸であるかどうかです。
田舎のおばあちゃん達は、たいがい身についているように思います。ただ、欧米化された食事に親しんできた方には無理かもしれません。
自給自足で、自分が作ったものを愛しみながら調理や料理をしてきた人達には、そんな力がちゃんと備わっているように思います。
以前、親戚に行った夏の時期、「ゴーヤが沢山できたので味噌漬けしたのだよ」・・・とお茶請けにでてきたゴーヤの味噌漬け・・・
陰性のゴーヤに、味噌という陽性の食材を使い陽性の漬物にする・・・その陰陽のバランスのとり方に驚きました。
マクロビオティックを学んでいなくても、「直感、感性、洞察力」が身についていました。
日本古来の食事をとるという事は、こういう事なのだと思います。
食事が欧米化した事で、日本人はとても大切な物を置き去りにしてきているのではないでしょうか・・・
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