「半沢直樹」で話題の「福澤克雄監督の講演会」に行ってきました。

奥出雲町より

昨日、「半沢直樹」で話題の福澤克雄監督の奥出雲町での講演会に行ってきました。
島根県知事が県の遣島使(県外で活躍中の島根県出身者や島根県を愛する方で、島根のPRをしてくださる人)に委嘱するために来県され、ご本人の希望で奥出雲町での開催となった講演会でした。
午後3時半から1時間半の内容の凝縮したお話しでした。
まずは、監督の生い立ちからスタート。
大きな身体。気さくなお人柄の監督でした。
福澤諭吉の玄孫である監督は、幼稚舎から大学までを慶應義塾で送られました。
難関の幼稚舎には試験もなく、大変な競争を切り抜けた子達をよそ目に入学したそうです。
その分、「しっかり勉強しなさい」とうるさく言われ頑張ったとおっしゃっていました。
幼稚舎は6年生まで同じ担任でクラス替えもなく過ごし、「何か一生できる事を見つけなさい」と入学したての幼い頃から言われ続けたそうです。
幼い監督にはその時には十分に理解できなかったようです。
幼稚舎時代から始めたラグビーでは、高校から大学まで大活躍でした。しかし、大学ではラグビーはやりたくなかったそうです。高校での活躍がそれを許さず大学でもせざるを得なかったとおっしゃっていました。
ご本人のそんな意思とは無関係に大学在学中には慶應史上初のラグビー日本一に輝いています。
大学卒業後はサラリーマン生活をするものの、映画監督になりたいという夢を捨てきれずテレビ業界(TBSテレビ)に入られました。
その後は、3年B組金八先生砂の器さとうきび畑の唄華麗なる一族99年の愛~JAPANESE AMERICANS~南極大陸半沢直樹など、数多くのテレビドマの演出を手掛けられています。
奥出雲町には、砂の器のロケで来られ、その日本の素晴らしい原風景が残る地、食の凄さ、人に魅了され、今では大ファンになってくださっています。
「皆さんは住んでいてわかんないかもしれないけれど、こんないい所はないですよ。宝物ですよ」と奥出雲を思って
「とにかく、ここは品が良い」と連発してくださいました。
「お煮しめなんか薄味で美味しい。京料理のように品が良い」。
「お米も美味しい。私のお歳暮は仁多米とお餅。自費で配っていますよ。池井戸(半沢直樹の原作者:池井戸潤氏)さんなんかお歳暮は一回ですからそれ以外は直接送ってもらっていますよ」。
「また、このご飯での卵かけご飯が美味しい。卵かけのお醤油(たぶん「おたまはん」)をかけたものなんかお店を出したら大流行しますよ」・・・・と奥出雲地方へのファンぶりが熱く、聞く側としてはとっても嬉しい思いがしました。
元祖たまごかけ醤油と言っても過言ではありません。
おたまはん」。関西風関東風があります。味も色も関西風が薄めです。
地元で平飼いされた鶏の有精卵です。
「ここは、ほんとうに品が良い」・・・・・。
「日本中歩いていますが、こんな品の良いところは他にはありませんよ」と。
たたら製鉄の鉄師である絲原家、櫻井家、田部家について京文化が反映されていて、ロケの場所としては最高だとのことでした。
次回作、リーダーズでもキャストやスタッフなどおよそ100人が昨年来町され、おおがかりなロケが行われました。
女優の山口智子さんもすっかり奥出雲町が気に入り、「本気で移住しようかしら」とおっしゃっていたそうです。
リーダーズの制作については、トヨタ自動車社長 豊田章男氏がTBSを指名されて成立したのだそうです。
撮影にあたって、奥出雲に貴重な古い自動車、トラックが運ばれ、それが使用されました。
運ばれた車のうちの一台。
ロケ風景。
リーダーズの台本。
(会場に展示のものより)
今の世界のトヨタ自動車からは想像できませんが、倒産の危機もあったそうです。その時に助けてくれたのが三井銀行、東海銀行、そしてそれに追随した地元の信用金庫などだったそうです。
ただ、住友銀行だけは助けてくれず、その後、トヨタは一切取り引きをしなかったそうです。
住友銀行の方が会社を訪れても追い返したとか・・・・。
今は、三井住友銀行などになっているのでどうかわからないけれどという裏話も興味あるものでした。
半沢直樹のドラマにも通じるものを感じます。
リーダーズの戦後の名古屋の撮影には、日本にその面影を残す地がなく上海にある広い撮影所に行かれました。
とにかく広いセットがあり、存分に撮影されたようです。
中国でも半沢直樹人気は凄く、TBSが版権を販売していないにもかかわらず、コピー版のDVDが山積みで置かれ、100元(1,800円ぐらいだそうです)で販売されていたとのことでした。
そのお蔭で、監督自身もすっかり有名人となっていて、待遇も良く、良い思いをしましたとおっしゃっていました。
政治的には反目しているように感じる昨今ですが、こんなお話しを聞くとホッとします。市民レベルでは、前向きに未来を見つめて仲良くしたいものです。
二度と戦争のないように心しなくてはと思います。
戦争体験をした人達は一様におっしゃいます。
「戦争は絶対にしてはいけない」・・・と。軍人だった私の父の口癖でもありました。
半沢直樹の版権についても、アジア地域、ハリウッドなとから申し入れがあるそうです。
このドラマは侍魂が根底にあるため、アジアの人達には受け入れられるだろうけれど、アメリカ人にはきっと理解できないでしょうとおっしゃっていました。
この続編については、今年は無理だけれど来年以降に映画という形で作るそうです。
楽しみですね。
こうして1時間半の講演はあっという間に終わりました。
その後の質問で、リーダーズのエキストラとして参加されたある大学生が感謝の言葉を述べられました。
「僕は、今教育学部で勉強していますが、エキストラで参加したり今回のお話しを聞いて、夢であった映像の世界に進みたいと思いました。どのようにすればその道に進めるのでしょうか」と。
「とにかく、大手のテレビ局を受けなさい。それがだめなら大手の制作会社、それもだめなら次のランクの制作会社と。そして、機を見つけて大手のテレビ局に潜り込みなさい」。
「今の若い子達は、才能がないからとすぐにあきらめてしまう。才能があるかないかはやってみなければ分からない。とにかくやってみる事です」と。
その大学生、「今はこの席にいますが、次回は演じる方になります。是非、僕を使ってください」とおっしゃいました。
1時間半の講演会で、人生が変わる方もいるんだと目の当たりにして、必ず、この大学生の夢が叶うことを願いました。
こんな田舎にいながら、福沢監督のお話しを間近で聞けたことに心から感謝でした。
そして、いかに奥出雲を愛してくださっているかも感じました。
私にできる事があれば、これからも応援していきたいと思いました。
2014年3月22日(土)と23日(日)の2夜連続でTBSで放送される「LEADERS リーダーズ」、今からとても楽しみです。
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